「は…?」
「あっ…私ね、ここの景色が好きなの。夕日に桜の花弁がキラキラして、それが凄く綺麗で…━━」
そこまで言うと、ふと夢での会話を思い出した。
あれ、このあと私、弥生君の横顔が綺麗だとか喋っちゃうんじゃなかったっけ??
でも、夢では成り行きで喋った…というか、呟いただけで…。だいたい恥ずかしいと分かってて同じ事言うなんてムリだよっ!ムリムリ!絶対にムリっ!
頭の中で葛藤してると口を開いたのは、弥生君の方だった。
「…そうか。」
「う、うん…。」
なんていうか…何かあった訳じゃないのに気まずく感じる。
隣で弥生君はすっと立ち上がった。くるりと後ろを向き、一歩、また一歩と歩いて行ってしまう。