こんな夢を見始めたのは、あの池に行ってからだ。
4日前、いつもの丘に夕日を見に行った帰り道のこと。私は何故か少し森に入った所にある池に足を運んでいた。
その池の名前は“純蓮池(じゅんれんいけ)”。そこで私は確かに見たんだ。嬉しそうに顔を合わせて微笑んでいる中睦まじい男女の姿を。
と言うのも、この町には古くから伝わる“純恋鬼(すみれおに)伝説”がある。
私もあまり詳しく内容を知らないけど、
昔々まだ無名だったこの池で、
人間の女の子と鬼が出逢って恋に落ちたの。
女の子は人間でいるよりも鬼になって、
恋い慕う鬼と共にいる事を選んだんだって。
確か二人の名前の頭文字から池の名前を付けたんだっけ。