さっき来た道をまた戻り、階段の前まで行くと、少し長い段を登っていく。
「あと少し…。」
目的地が近づくにつれて気持ちも高まっていく。もうすぐ綺麗な夕日が見れる。
けれど、私の気持ちが高まっていく要因は他にもあった。なんとなく今日ゎキミが居る様な気がするから。
上まで行くと桜の木を見る。けれど、そこには誰もいなかった。私は桜の木にもたれ掛かると青色とオレンジ色のグラデーションの空を見上げた。
「やっぱり夢の通りにはいかないよね。」
空を見ていると不意に名前を呼ばれた。
「……卯月?」
「え…?」
声に振り返ると弥生君がいた。
え…弥生君?!うそ、本当に会えた!
弥生君は近くに腰を下ろすと空を見上げた。