私はそれを掌に乗せた。すると不意に春風がふわっと吹き上がり、花弁をさらって行った。


それは木から舞落ちてきた他の花弁と一緒に舞い上がり、一瞬でどれか分からなくなった。


ふと隣を見ると、夕日と重なってキラキラする大好きな光景と弥生君の横顔を目の前に私は自然と呟いていた。


「━━━…きれい…。」


「は…?」


突然言われた言葉に弥生君は目を丸くしてコチラを見ていた。


「あっ…私ね、ここの景色が好きなの。夕日に桜の花弁がキラキラして、それが凄く綺麗で…。」


違う。今私が綺麗だと思ったのは、弥生君の横顔。