私が立ち尽くしていると弥生君が声をかけてきた。
「座れば?」
「うん。」
私は弥生君の左隣に少し距離をあけて、ちょこんと膝をかかえて座った。しばらく沈黙の中、二人で夕焼けの空を眺めていた。
私からも何か話した方がいいかな。
でも、何話したらいいの?考えてみたら、男の人と二人だけで話したことなんてなかった。
どうしよう。考えてたら凄く緊張してきた。
「…お前もここ、よく来んの?」
突然話し掛けられてドキっとする。
「え…うん。」
「ふーん…。」
何を話したらいいのか、頭がいっぱいいっぱいになっていた私の膝の上にひらりと、一枚の桜が舞落ちた。