引きずられるように教室を出ると、春優君は掴んでいた手を離して、そのまま歩いて行ってしまう。


廊下には生徒がちらほらいるけど、皆が春優君を避ける中、私はその後を追った。


しばらく歩いて春優君の家まで来ると私は立ち止まる。夢で何回か来ているとはいえ、中に入るのは初めてで少し緊張する。


「どうした?入んねぇの?」


「あ…ごめん!今行く!」


玄関に入ると奥から出てきたのは、夢でも見た春優君の義理のお母さんだった。


「あ…お帰りなさい、春優君。お父さん帰って来てるわよ。」


「卯月、こっち。」


春優君は優しく微笑む綺麗な女性、恵子さんを無視して奥に進んでいく。私はその女性に軽く頭を下げて春優君の後を着いていく。


春優君が突き当りの部屋の戸を開けると、桃華ちゃんと椿君と男性が一人座って双子と遊んでいた。その男性はこちらを見ると、怪訝そうな顔をして言った。


「春優、誰なんだ、その子は。話があると言っただろう。部外者を招くとは何を考えてるんだ。」