翌朝目覚ましの音で目が覚める。ベッドの上で伸びると、起きて目覚ましを止めてリビングに行く。
お母さんは昨日のケンカの影響なのか、やっぱり不機嫌だった。
「おはよう、未春。」
「おはよう、お母さん。」
もうケンカは止めて、なんて言葉が喉まで出ても、ぐっと飲み込んで心にしまう。言いたいのに言い出せない。思っているのに、変わりたいのに変われない私は結局、臆病者だ。
それから、いつものようにカバンを持って家を出る。学校の校門を抜けて下駄箱に行くと、春優君が下駄箱に寄り掛かっていた。
「あれ、春優君?…おはよう。」
「ああ、おはよ。あのさ、ちょっと話があんだけど…いい?」
「あ、うん、いいよ。」
「ついてきて。」
私は春優君の後をついて行く。階段を何階も登っていき、突き当たりの屋上のドアを開けて外に出る。今日は天気がいいから空が雲一つなく青い。
足元に広がっているコンクリートのタイルは所々欠けたりしている。そしてその先には薄れた緑色のフェンスが囲むように高く隔てられていた。