「だから泣くなって!ったく、お前泣き虫だな。」
その後、しばらく沈んでいく夕日を見ていた。薄暗くなってきた頃に春優君が立ち上がる。
「そろそろ帰るぞ。送ってく。」
「うんっ!」
さっきまでは後ろを歩いていたのに、今は隣を歩く。たったそれだけなのに凄く嬉しい。
家の前まで着くと、借りていたパーカーをカバンから取り出す。
「あっ!春優君、パーカーありがとう。」
「ああ。じゃ、また明日な。」
「うん。」
春優君を見送ってから玄関に入るとリビングから争う声が聞こえた。私は階段を駆け上がって自分の部屋に駆け込んだ。