「お前には聞いてない、下がってろ!!」
「お父さん!!」
私は、我慢出来ずに叫ぶ。
前の、優しくて真面目なお父さんは……どこに行っちゃったの?
どうして、そんなふうに……怖い顔をしてるの。
「もう……やめて……」
「お前が勝手にいなくなったからだろ!!誰が、俺の飯を作る?酒を買ってくるんだよ!!」
そうだね、お父さんにとって私は娘じゃない。
ただの……家政婦だ。
「娘としての役割を果たせ!!」
「娘だなんて、思った事ないくせに……」
自分でも、驚くくらい低い声が出た。
それに、棗くんが驚いたのが分かる。
「私がいなくなっても、連絡一つ……携帯には入ってなかった。なのに、気まぐれに娘だって言う……」
お父さんに、ただ認められたくて必死だった私。
でも今は、そんな自分が滑稽に思える。
何をしたって、お父さんは私を娘として見てくれる日はこないんだ。
お母さんが、戻ってこない限り……。