この声……嘘、どうして……。

目の前にいるのは、ビニール傘越しにこちらを見つめる……。


「お父さん……」


数日ぶりに見る、お父さんの姿だった。

最後に会った日より、少し痩せてる……。

どんな目に会ったとしても、傍を離れちゃいけなかったのかもしれない……。

自分の、父親なのに……。


「こんなところで、何してるんだと聞いてるんだ!!」

怒鳴る声に、ビクリと身体が震えた。

すると、棗くんが1歩前に出て、私を背中に庇った。


「美羽さんは、俺の家に泊まっていました。一番にお父さんに連絡しなくて、すみません」

「棗くん……」


棗くんが悪いんじゃないのに……。

私のために、頭を下げてくれてる……。

罪悪感に胸がズキズキと痛んだ。