「おかえりなさい、棗くん」
「あ……ただいま、美羽」
嬉しそうに笑って、棗くんは私の手から傘を取ると、代わりに持ってくれる。
その流れで、傘を二本もってきたのに、アイアイ傘をすることになった。
「美羽は、家で何してたの?」
「お掃除とか、洗濯をしてました」
「いつも色々やってもらっちゃって、ごめんね?」
棗くんは、家事オンチもそうだけど、洗濯機や電子レンジを破壊しかけてる。
前に、ゆで卵を電子レンジで作ろうとして、爆発させてたっけ。
「私が好きにやってることなので……それに、マンションで家事は本当に危険なので!」
だから是非とも、家事は私に任せてほしい。
命のために!!
そんなことを話しながら、私達は寄り添って雨の中を歩く。
――カサリ……。
ん……?
すると、棗くんが傘を持っていない方の手に、ビニール袋を持っていることに気づいた。