「承知しました、お姫様?」
首を傾けて、茶目っ気たっぷりに笑う棗くんに、私は頬を膨らませる。
「な、棗くん……またからかってますね!?もう……でも、棗くんの帰りをちゃんと待ってますから」
今日は、棗くんの憂鬱な気持ちも軽くなるように、美味しいお菓子でも作って待っていよう。
せめて、私がいるうちは、棗くんのために出来ることを全力でしようって、決めてるから。
それが、私の恩返しだ……。
「っ……そっか、なんか嬉しいな。美羽が待っててくれるなら、尚更早く帰らないと」
そう言って笑った棗くんの顔は、さっきより明るくて、私はホッと胸をなで下ろしたのだった。