「それはもちろんです。だけど棗くん、どこかに用事があるんですか?」


2人で朝食を取りながら聞き返すと、棗くんは曖昧に笑って頷く。

その笑顔が無理しているようで、少し気になった。


「なんだか……乗り気じゃなさそう……ですね?」


思ったことを素直に聞いてみると、棗くんは一瞬驚いた顔をして、すぐに苦笑いを浮かべる。



「美羽にはバレバレだね。そうなんだ、少しだけ憂鬱な場所でね……すぐに戻ってくるから」


「急がなくても大丈夫です、棗くんの帰りくらい、一人で待てます!」



棗くん、どれだけ心配性なの。

私のこと、小学生くらいに思ってるんじゃ……。

私は勝手に、ガーンッと落ち込んだ。


「美羽、帰りに何か甘いものでも買ってくるよ。何が食べたい?」

「あ、えと……じゃあ、プリンがいいです」


私は大好物のプリンをお願いする。

すると、棗くんは優しい眼差しで私に笑いかけた。