「一人で泣いてたの?」

「……どうして……」


どうして、分かったんだろう。

私は枕に顔を埋めたまま、聞き返す。

すると、私の隣に棗くんが入ってきた。

驚いて顔を上げると、棗くんの優しい眼差しに見つめられる。


「うーん、勘かな」

「棗くんの勘って、すごいんですね」


ぎこちなく笑えば、棗くんは私をすっぽりと腕の中へ閉じ込めてしまう。


今、私達は一つのベッドに横になっていた。

こんなの駄目だって思うのに、棗くんの温もりが心地よくて、離れたくない。


「無理に笑うの……俺の前ではしなくていい」

「え……?」

「俺は、美羽のどんな姿を見ても、きみを大切だと思うよ」


そう言って棗くんは、優しくあやすようにトントンッと私の背中を叩いた。