結局、棗くんが目を覚ましたのは夕方頃だった。

棗くんのお父さん、お母さん、杏ちゃんは帰っていて、目が覚めたら連絡することになってる。


「美羽……」


目を開けると、手を伸ばして私を探す棗くんに、慌てて駆け寄って、その手を握った。


「棗くんっ、傍にいるよっ」

「あぁ……良かった……」


心底安心したように笑う棗くんに、私の目から涙が零れる。

そして、頬を伝って棗くんの頬に落ちた。


「美羽……怖い思いをさせて……ごめんな……」

「っ……うぅっ、良かった……」


棗くんが、このまま目を覚まさなかったらと思ったら、頭がおかしくなりそうになった。


こうして棗くんが眠ることは何度もあった。

だけど、一度だって慣れることは無いんだ。