「美羽お姉ちゃん、棗お兄ちゃんは大丈夫だよね??」

「杏ちゃん……」


不安げに見上げてくる杏ちゃんに、なんて言葉を返せばいいのか迷っていると……。


「ボロボロになるのを分かっていて、治療を受けて……なんて、私たちのエゴだとは思うけど……」


お母さんが、苦しげに呟く。

そんなお母さんを、お父さんが抱き寄せていた。


「少しでも、長く生きてほしい……ものよねっ」

「清美……でも、棗の望んだことだ。棗は、もう子供じゃない、ちゃんと自分のことを決められる」


そんなお父さんの言葉に、お母さんは頷いていた。


棗くんが……私と同じように歳をとって、おばあちゃん、おじいちゃんになるまで一緒にいられたら……。


こんなふうに、寄り添えていたのかな。


「棗お兄ちゃん……」

「杏ちゃん、棗くん……早く目が覚めるといいね……」


当たり障りのない答えしか返せずに、私は泣き出しそうになりながら棗くんを見つめた。



棗くん……棗くんのこと、こんなに待ってる人がいるよ。

だからね……いなくなったりしないでっ。

私の傍に……いて……っ。