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放課後、私は棗くんと待ち合わせしていた図書館にやってくる。

棗くんが勉強を、言い出したのは、明後日の期末試験のためだった。


「美羽、そこはXを知りたいものに置きかえて式に当てはめたらいいんだよ」


棗くんが私の隣りに座って、手元をのぞき込むようにしてアドバイスをくれる。


その距離が近過ぎて、私は胸がドキドキして、息苦しかった。


「美羽、聞いて……って、美羽、顔赤い」

私の顔をのぞき込んだ棗くんは、なんだか嬉しそうにニコニコしだす。


「うっ……そ、それは……っ」


棗くん、絶対からかってるよ……。

それがさらに恥ずかしくて俯いていると……。


「ハハッ、可愛いな、本当に」

「わ!」


棗くんはギュッと私を抱きしめると、頬をすり寄せるようにした。

そして、棗くんは私の耳元に唇を寄せる。


「図書館は静かにね?」


――ドキンッ!!

「っ……」

そう囁かれた途端、心臓が止まりそうになった。

もう、誰のせいだと……。