廊下の曲がり角を、階段の方へと向かう影。


こんな時間にだれ……?


少なくとも足音はするから、人間ではあると思う。


人影は、階段を上へと向かっているようだった。


三年の教室は最上階にあるから、この上にあるのは屋上しかない。


それはほんの気まぐれだった。


こんな時間に、屋上に向かうだなんて、どんな人なんだろう。


先生なのか生徒なのか。


何をするつもりなのか。


気が付いたら、後を追っていた。


相手に悟られないように足音を気にしながら、階段を上っていく。


自分の息遣いがやけに大きく聞こえた。


やがて屋上へと辿り着く。入り口は、鍵が開けられているみたいだった。


「……」


ゆっくりと扉を開く。


その向こうに――彼はいた。