嫌だったけど、でも私にはどうにもできなかったし、どうにかしようと積極的に行動する覚悟もなかった。


かといって、夜遊びをして反抗するような勇気もなし。


心が安まるのは、紗英たちとお喋りをしている時だけ。


でもそれも学校に行っている間だけのことだ。


もうすぐ夏休みに入ってしまう。


夏休みになれば、当たり前だけど中学は休みになる。


学校に行くことがなくなれば、紗英と会える時間も減ってしまう。


今年は受験の年でもあるのだから、なおさらだ。


みんなが心待ちにしているはずの夏休みは、私にとって憂鬱なものでしかなかった。


いっそのこと空から星でも落ちてきて、うちの家に直撃してくれればいいのに。


そんなことを、本気で思ったこともあった。


今から考えれば、笑ってしまうような妄想だけど。


とにかく、あの頃は世界が窮屈だった。


不安で、押しつぶされてしまうような気がした。