大晴山までは、電車で一時間くらいの距離だった。


涼くんの話を聞いて、私たちはその足で駅に向かい、電車に飛び乗った。


このまま乗っていれば、やがて最寄り駅に着くはずだ。


大晴山……そこに、昴はいるのかな。


いたとして、どうしてそんなところに行ったのかな。


私といっしょにいるのが、嫌になっちゃったのかな……


「……大晴山は、星が見えることで有名なんだ」


涼くんが言った。


「……前に、昴と話したことがあった。あそこは特別な場所で、この時期でも、肉眼でプレアデス星団が見えるかもしれないんだ」


「〝すばる〟……」


だとしたら、昴は〝すばる〟を見に行ったの?


一年前も、そして今も……?


だけど何のために……?


「……」


分からない。


でも今できることは、とにかく大晴山に向かうことだけだ。


はやる気持ちを抑える。


電車、もっと早く動いてくれればいいのに。


ゴトンゴトンというのんびりとしたリズムがもどかしい。


ヒザの上でぎゅっと手を握る。


その間、私はずっと昴のことを考えていた。







始めて出会ったのは、今から一年とちょっと前。


まだ私たちが、中学に通っていた頃のことで――