「でもさ、何かが引っかかってるんだよ」


昴が言った。


「何かこう、頭の中がもやもやしてるっていうか、やらなきゃいけないことがあるような気がして……」


「やらなきゃいけないこと?」


「ああ」


一瞬だけ、昴が遠くを見るような目になった。


その横顔がこれまで見たことのないようなもので、おとなっぽくて、私は少しだけ胸がドキドキするのを感じてしまう。