次に感じたのは、温かな感触だった。


うっすらとした意識の中、抱きしめられる確かな感触。あ、昴、戻ってきてくれたんだ……


「昴……」


「……悪い、昴じゃ、ない」


「え……」


そこにいたのは涼くんだった。


整った顔立ちに不安の色を濃く浮かべて、私の顔を真っ直ぐに見つめている。


「……仁科が戻ってこないから、探しに来たんだ。たぶん、こっちに流されたんじゃないかって」


「あ……」


「……大丈夫。すぐに助けが来るから」


そう言って、涼くんは身に付けていた防水のバッグからタオルを出して私にかけてくれた。


薄手の布地だけど、一枚あるとないとではぜんぜん違う。