「……さ……」


「……ん……?」


「……さ……梨沙……起きろって……!」


「……? ん、昴……?」


目を開けると、そこには珍しく真剣な表情の昴の顔があった。


「ん、どうしたの……? 私、寝ちゃってたんだ」


「どうしたの、じゃない! 見てみろって!」


「え……?」


昴の声に、身体を起こして確認する。


周りにあるのは、深い青色をした波立つ海だけ。



陸が、見えなくなってしまっていた。