「んー、いい気持ち」


降り注ぐ太陽に、穏やかな海風が心地いい。


日焼けが少しだけ心配だったけど、そこはちゃんとウォータープルーフの日焼け止めでがっちりガードしてきたから大丈夫だ。


頭の上にはもちろん、昴がクラゲみたいにぷかぷかと浮かんでいる。


「お、魚がいる」


「え、どこどこ?」


「ほら、そこ。梨沙の真下」


「ほんとだ。ていうか昴、水の中にも入れるんだ」


「ん、幽霊だからな。息継ぎもしなくて平気みたいだ」


「へー」


便利。


ちなみに昴は制服姿のままだ。


水にもぐっても濡れたりはしないみたいだけど、その反面着替えたりはできないらしい。


「そういえば昴、どうして制服姿なんだろう」


「ん? さあな。死んだ時に制服を着てたとか」


「でも、夏休みだよね、昴が、その、事故に遭ったの……」


「部活で学校に行った後だったんじゃね? 学校に行く時は、休み中でも制服だったし」


「そっか」


そんな会話をしながら、揺れる景色に身を委ねる。


テンポよくイルカに押し寄せる波は気持ちよくて、ふわふわと何だか夢の中にでもいるみたいだった。


だからかもしれない。



つい、うとうととしてしまった。