その光景を、ビーチパラソルの下で私は何となく眺めていた。


「梨沙、海に入らねーの?」


昴が訊いてきた。


「え、うん」


「?」


「や、入る、けど……」


「けど?」


「その、ほら、水着って、初めてだから……」


去年の夏は、海に行っていない。


行く約束はしていたんだけど、昴があんなことになってしまって、それどころじゃなくなってしまったのだ。


だからその、昴にはまだ、水着姿を見せたことがないわけで……


「え、でも俺、梨沙の水着、見てみたいけど」


こういうことはストレートに言ってくるのが、昴のいいところでありどうかとも思うところだ。


そんな屈託のない顔で言われたら、素直に見せるしかないじゃん。


「わ、分かった。昴がそう言うなら……」