「うんうん、この匂いだ。匂いがかげる幽霊でよかった」


「うん」


「でもこれ、何でお前が持ってんだ? 男物だと思ったけど」


「……っ」


それを真っ正面から訊いてくるか、この男は……


というか、それくらい察してほしい。はー、これだから男子は……


「……前に買い物しててたまたま見付けて、何となくいい匂いだったから、買ってみたの。それだけだよ」


「ふーん」


しれっとごまかした私に、昴は首をかしげながら鼻を鳴らした。


「そ、それより、片付けの続きをしなきゃ。ぜんぜん進んでないよ」


「ずいぶん物を捨てるんだな」


「え? ん、もう使わないかなって……」


「にしても捨てすぎじゃね? ん、そっちのそれは……」


と、今度は『Starry sky』』の横にあったものを指さす。


そこにあったのは、丸い形をした小さなダンボール製の十二面体だった。