「はー、楽しかった」


屋上でのプチ天体観測を終えて。


家に戻った私は、ベッドに転がりながらそう声を上げた。


こんなに遊んだのは、久しぶりかもしれない。


途中でちょっと落ち込むこともあったけれど、最後の星空が全部を洗い流してくれたような気がした。


「ん、楽しかったな。アルタイルがすげぇきれいに見えた。やっぱうちの学校の屋上は最高だわ」


昴も満足そうな顔でそう口にしていた。


「ほんと、これで〝すばる〟が見えてくれれば言うことなしだったんだけど、さすがにそれは無理ってもんか」


「『夏の願い星』?」


「お、それも覚えてたのか?」


「忘れるわけないよ」


一年前に昴から聞いた『夏の願い星』の伝説。


素敵な話だったから、それは今でも心に強く残っていた。