「懐かしいね。あれがまだ一年前のことなんて、うそみたい」


「そうだな。確かあの時に梨沙、いきなりつまずいて転びかけたんだっけ」


「そ、それはもう忘れてよ」


「はは」


昴が笑う。


ほんとに――あれがわずか一年前のことなんて、うそみたいだ。


うそであって、ほしかった。


何かの間違いであってほしかった。


昴が死んでしまって、こうして触れることもできない幽霊になってしまっている、今なんて。