***
一年と少し前の、中学の屋上だった。
「ねえ、そんなところで何してるの?」
「ん、星を見てるんだ」
「星?」
「ああ、ここが、学校では一番よく見えるんだ」
暗くなってほとんど何も見えない屋上で、昴はそう答えた。
「星って、何が見えるの?」
「何だって見える。今の時期なら、夏の大三角、さそり座のアンタレス、天の川、それに何と言ってもあれだろ。ほら、これ見てみろよ」
「いいの?」
「ああ」
うながされて、昴の手元にあった天体望遠鏡を覗きこむ。
すると、たくさんある星の中でもひときわきれいな蒼色に輝く六つの星が飛びこんできた。
「わ、きれい……これ、何座なの?」
「これはプレアデス星団だな」
「プレアデス星団……」
「ああ。和名は〝すばる〟っていうんだ」
まだ昴の名前も聞いていなかった頃。
それが、私が初めて知った星の名前だった。
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一年と少し前の、中学の屋上だった。
「ねえ、そんなところで何してるの?」
「ん、星を見てるんだ」
「星?」
「ああ、ここが、学校では一番よく見えるんだ」
暗くなってほとんど何も見えない屋上で、昴はそう答えた。
「星って、何が見えるの?」
「何だって見える。今の時期なら、夏の大三角、さそり座のアンタレス、天の川、それに何と言ってもあれだろ。ほら、これ見てみろよ」
「いいの?」
「ああ」
うながされて、昴の手元にあった天体望遠鏡を覗きこむ。
すると、たくさんある星の中でもひときわきれいな蒼色に輝く六つの星が飛びこんできた。
「わ、きれい……これ、何座なの?」
「これはプレアデス星団だな」
「プレアデス星団……」
「ああ。和名は〝すばる〟っていうんだ」
まだ昴の名前も聞いていなかった頃。
それが、私が初めて知った星の名前だった。
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