「昴、ほんとに星が好きだよね」


「ああ、好きだ」




――好きだ。




その言葉に、思わずドキリとしてしまう。


それは別に、私に向けられたものじゃないのに。


「あれはさそり座のアンタレス、あっちはオリオン座と北斗七星、あそこが天の川で、あれがアルタイルとベガ……彦星と織り姫だな」


「あ、七夕だね」


おそらく、日本で一番有名と言ってもいいんじゃないかと思われる星座。


でも私には、それよりももっと印象的で、もっと忘れられない星があった。


「――この季節だと、プレアデス星団が肉眼じゃ見えないのだけが残念だな」


「あ、それって」


「ああ」


昴がうなずく。


それは……中学で昴と初めて知り合った時に、教えてもらった星の名前だ。


プレアデス星団。


私の中で、一番大切な星。




その和名は――〝すばる〟。