――あの〝星見台〟での出来事から、一ヶ月が過ぎた。


あのあと、昴が消えた光の中で呆然としている私のもとへ、紗英と涼くんが駆けつけてきてくれた。


「梨沙……?」


「……仁科?」


「……紗英……昴が、いっちゃった……」


「梨沙……」


「……光になって……星になっちゃったよ……」


「そっか……」


そう言うのが精一杯だった私の頭をぎゅっと抱いて、紗英が言う。


「でも梨沙、最期に昴くんに、会えたんだよね?」


「うん……」


「ちゃんと、話せたんだよね?」


「……うん……」


うなずく。


「……昴に……会えたよ。会って……好きだって……言ってくれた……なのに……なのに……昴は消えちゃって……」


「うん」


「……わ、私……まだ、昴といっしょにいたかった……やりたいこと、いっぱいいっぱいあった……」


「うん」


「……な、なのに、そ、それなのに……」


「そっか。しんどかったね」


紗英の腕の中で、私は泣いてしまった。


そんな私を、紗英も涼くんも、落ち着くまで黙って見守ってくれていた。


何だか私、この二人の前で、泣いてばっかりな気もする。


本当に、感謝しても感謝し足りない。


「……この匂い、昴の『Starry sky』……」


涼くんがつぶやく。


「……そっか、昴、本当にここにいたんだな……」


そう、昴は確かにここにいた。


でも、もう今はいない。


空に輝く『夏の願い星』――六つの蒼い星だけが、その名残の光を降り注がせていた。