「何考えてんだ、この馬鹿」


昴が口にしたのは、そんな言葉だった。


「せっかく生きてるってのに、自分から死のうとするなんて、ありえねぇ」


「でも」


「でももなにもない。んなこと考えるほど馬鹿だとは思わなかった」


こつん、と額にデコピンをされる。


痛く……はない。


でも、私の決意を認めてくれない昴に……心は痛くなった。


なおもすがるように視線を送る私に、昴は息を吐きながらこう口にした。


「……そこ、掘ってみてくれ」


「え?」


「そのでっかい木の根元だ。俺、できねーんだよ」


「え、でも」


さっきは私に触れて、助けてくれたのに。


「俺が願ったのは〝『梨沙に』触れさせてください〟ってことだけなんだよ。だから、お前以外のものには触れないんだ」


「あ……」


そう、なんだ……


その言葉に少しだけ胸が動くのを感じつつも、言われた通りに木の根もとを掘る。


柔らかい土質だったので、苦もなく手で掘ることができた。


「あれ、何かある……?」




掘った先から出てきたのは、箱だった。


両手で持ち上げることができるくらいの、小さな箱。


うなずく昴の顔を確認して、開けてみる。





中から出てきたのは――