下草をかき分けて腐葉土を踏みしめて、山道を走っていく。


あと少しだ……


あと少しで、また昴に会える……!


足もとはふわふわとしていて歩きづらかったけど、その高揚感からかほとんど気にならない。


昴に会ったら何を話そう。


今の私の気持ち。


一年前のあの時の私の気持ち。


話したいことがたくさんある。


伝えたいことがいっぱいいっぱいある。


どうして、昴がいなくなってしまう前に告げることができなかったんだろう。


いつまでも傍にいてくれるって、安心してしまったんだろう。


たとえ幽霊でも、どんな形でも、昴とずっといっしょにいたい。


それは今も、一年前からずっと、変わらない私の気持ちだ。


そのための決意は、もうすでにできている。


私はポケットの中身をぎゅっと握りしめた。


空には、無数のキラキラとした星が輝いていた。


美しく、見ているだけで吸い込まれていってしまいそうな、星の海。


きれいだった。


手を伸ばせば、その光の渦に届きそうに見えた。


探せば、〝すばる〟も見付かるだろうか。


見付けた者の願いを一つだけ叶えてくれるという……『夏の願い星』。


つい、〝すばる〟のあるべき場所を目で追ってしまう。


それが、いけなかった。



目の前で道が途切れていることに気付かなかった。