昴と過ごす時間は楽しかった。


僕の家は女ばかりで、姉貴が三人いる。


大学生が一人と、高校生が二人。


三人とも僕のことをかわいがってくれたけど、それは姉が妹に対してするようなもので、男の僕には何となく居心地が悪かった。


だからかもしれないけれど、昴といっしょにいる時間は、余計な気兼ねをしなくていいから好きだった。


そうしているうちに、いつの間にか僕も星に興味を持つようになっていた。


星の名前を覚え、見つけ方を知り、楽しみ方を覚えていった。


二人でお小遣いを合わせて、初めての天体望遠鏡を買ったりもした。


気付けば、他のだれよりも昴といっしょにいた。


昴のことを親友だと思い始めたのも、この頃からだと思う。


だけどそんな関係になっても、昴は時折ふと寂しそうな表情を見せた。


昴の家は、母親を早くに病気で亡くしていた。


父親はいい人で、母親の分も昴に愛情をかけようとがんばっていたみたいだったけど、やっぱり一人でそれをやるのには限界がある。


昴は寂しい思いをしていたんだと思う。

 でも昴は、その寂しさを人に見せようとはしなかった。


それは昴の強さであったけれど、そういうところが、僕としては少し物足りなくもあった。