最初に星に興味を持ち始めたのは、昴の方だ。


暗くなるまで遊んでいた帰り道に、空を見上げてふとこう言ったんだ。


「なあ涼。あの星、名前なんていうんだろうな?」


季節は初夏だった。


夜空に鮮やかに光る蒼い星に、昴は目を奪われたみたいだった。


その時に昴が見上げていた星がプレアデス――〝すばる〟だっていうんだから、できすぎもいいところだと、あとになって思った。


でもとにかく、その時から昴は星に心を奪われのだ。


「涼、今晩空いてる?」


「……大丈夫だよ」


「じゃあ学校の裏山に、さそり座を見に行こうぜ。あそこからよく見えるらしいんだ」


「……分かった」


毎日のように、二人で星を探しに行った。




春にはうしかい座、おとめ座、しし座を。


夏には夏の大三角と天の川を。


秋にはカシオペヤ座とペガスス座を。


冬にはオリオン座と冬の大三角を。