大晴山は、最寄り駅から歩いて十五分ほどの距離にある。


涼くん、紗英といっしょに、私は大晴山の登山道の入り口に立っていた。


この山に、昴がいる。


一年前に亡くなって、そして一日前に姿を消した、私の想い人の幽霊が。


「……昴が行くとしたら、たぶん〝星見台〟だと思う」


涼くんが言った。


「〝星見台〟?」


「……うん。そう呼ばれている場所がこの山にはあるんだ。そこはこの山の中でも特に星がきれいに見える場所で、時には今の時期でも〝すばる〟が肉眼で見えることもあるって」


「〝すばる〟が……」


そんな場所が、あるんだ。


だったら……昴が向かったのは、そこなんじゃないか。


そう思った。


一年前に、昴が私を連れていってくれようとしていた場所。


それはその〝星見台〟かもしれない。


何となくだけど、そう思った。