それからどうやって過ごしていたのか、もうほとんど覚えていない。


ただ時間だけが過ぎて、お通夜だとか、お葬式だとか、色々な出来事が嵐のように通り過ぎていって、その中で、私は人形みたいにうつむき続けていた。


何もかもがぐちゃぐちゃなまま、両親は離婚をして、私はお姉ちゃんといっしょにお母さんについてこの家に残ることになった。


そうしたのは、いつか昴が幽霊になって化けて出てきた時に、この家から離れてしまっていては、分からないんじゃないかという気持ちがあったのかもしれない。




『決めた。もし俺が死んで幽霊になったら。仁科のところに化けて出ることにする。それで、幽霊はいるって、信じさせてやる』




頼りないものだけど、今はその言葉にすがるしかなかった。


待った。


いつ昴が戻ってきてもいいように、夜も寝ないで待った。


だけど、何日待っても、何週間待っても、昴は現れてくれなかった。


ああ、やっぱり、幽霊なんていないんだ……


お祖母ちゃんは会いに来てくれなかった。


昴も来てくれない。


二人とも、約束してくれたのに。


だったら……幽霊なんて、いないに決まってる。


そんなもの……どこにも存在しないに決まってる。


それから……私は、ほとんど死んだように毎日を過ごした。


ただ起きて、ほとんど喉を通らないご飯を口にして、それが終わったらベッドに戻って。


認めたくなかった。


信じたくなかった。


もう、昴がいないなんて。


この世界のどこに行っても、昴に会えないなんて。




ただ……タンスの上にあるミニプラネタリウムと『Starry sky』だけが、まるで夏の名残のようにそこにあった。