「――なあ、梨沙。来週って空いてる?」


ひとしきり胸の奥に淀んでいたものを吐き出したあと、昴が言った。


空には、いくつもの星々が美しく輝いていた。


「来週? うん、大丈夫だと思うけど……」


「ん、じゃあちょっと付き合ってくれないか。いっしょに行きたい場所があるんだ」


「行きたい場所……?」


「ああ」


昴がうなずく。


そして、私の目を真っ直ぐに見て、こう言った。


「梨沙と……二人で、行きたいんだ」


「私と二人で……?」


「うん、梨沙と二人で」


行き先も、どうして二人だけでなのかも、昴は語らなかった。


その時のお楽しみだ、と言って、ただ笑っているだけだった。


ただ、その昴の言葉は、とても深く静かに私の心に染みこんでいった。






そしてこれが、昴と過ごした最期の時間だった。