「よーし、んじゃそろそろ撤収な」


「ちゃんと水かけるの忘れんなよ」


「ねー、ここにスマホ落ちてるんだけど、だれのー?」


持ってきた花火をほとんどやり終えて。


河原では撤収が始まっていた。


あれ、昴はどこだろ?


姿が見えなかったので探してみる。


辺りを歩いていると、昴はすぐに見付かった。


みんなからは少し離れた場所で、ぼんやりと空を眺めていた。


「……」


どうしてだろう。


その横顔が、ひどく寂しそうに見えた。


目を離してしまったら、そのまま消えてしまいそうなほど。


そう――昴はときどき、こうやって寂しげに空を見上げている時がある。