「うわあ……」


思わずそんな声が出た。


テントの天井を埋め尽くす数多の星々。


もちろんそれは本物の星空じゃない。


投影機と照明とで作られた人工の光。


だけどそれはどこまでも鮮やかでどこまでもきれいだった。


私たちにとって、それはテントの外で光り輝く本物の星と同じくらいに価値のあるものだった。


「何だか不思議だね……外にも星空があるのに、こっちにも星空があるなんて」


「だな。でもプレアデスが見られるのは、この中だけなんだよな」


「あ、そうだね」


くっきりと輝く六つの星。


今の時期には肉眼では見えない散開星団。


〝すばる〟が鮮やかに光をたたえていた。


そのまま、私たちは静かに星を見つめた。


消えることなく輝く〝すばる〟の光を、いつまでも二人で眺めていた。