ブレザー新しいように見えるけど…



「てか、誰?」



玲も気になったらしく

その人の背中を指さした。


彼は振り返ることなく

ポケットに手を突っ込んだ。



「…人の話を聞かない玲君と
いつまでもおかちゃん呼びの優華には
教えませーーん」


その瞬間隣にいた人の肩がピクッと動いた






「ってか、おかちゃん呼びは先生公認じゃん!」


「ははっバレたか!」


「んで?…転入生?」


「あぁ、そうだよ」



ごほんっとわざとらしい咳払いをした先生


また説教が続きそうな気がして



急いで鞄を持ち退散する事にした。



「また明日なー転入生!」



玲はそれだけ言うと教室をでた。



私も何か言おうかと思ったけど



その背中を見ただけで言えなかった



「お前らはその茶髪も何とかしろよー!」



声でかいよおかちゃん


廊下にまでまる聞こえだし…



こんなくだらない事でも面白くて


楽しかった。



途中まで帰る方向が同じな私達は



いつものように並んで歩いた。



玲とバイバイしてから、またあの人の事を考える。



さっきから頭をチラつく彼の後ろ姿。



見たことないはずなのに、



何故か懐かしさを感じていた。






これが、始まりになるとも知らずに…ーー。