統夜が転校してきてから一か月。
私は相変わらず玲と休み時間を過ごして
お昼を食べて帰る。
その間に統夜はいなかった。
統夜は、なんでこのタイミングで戻ってきたんだろう…
って、そんな家庭の事情に私が首突っ込んでいいはずないじゃん!
統夜はなんで何も言ってこないんだろう
って、私に興味無いってことじゃん!!
「…ぉい、優華…」
どうして、統夜はー…
「優華!!」
「へっ!?」
「お前なぁ…」
ご立腹の様子…。
「俺、なんつった?」
えっ…ええー、聞いてませんでした
とか言えない!!
「あ…アイス食べたい?」
できるだけ可愛らしく小首を傾げて、
「…て、てへっ☆」
「…」
ひぃいぃっ!余計怒ってらっしゃる!
「食べこぼしすげーけど?」
ぷっと馬鹿にしたように言う玲
制服のスカートに落ちたご飯粒たち
は、恥ずかしい〜
急いで拾っていると玲の手が伸びてきた。
「あ、ありがとっー…」
顔を上げた時の距離にびっくりした。
たまにあるんだよねこういう時。
「も、もう近いってば!」
胸元を押して退けようとすると
その手を掴まれる。
「…あのさ」
「っ…」
その近さとか、
玲の放つ雰囲気とか、
そんなものに私は逃げる事もふざける事もできなくなってしまった。
「お前、変じゃね?」
「そんな事ないって…」
「あいつが来てから変だろ」
ぐっと握られた手に力が込められる。
「いたっ…痛いよ、玲」
「俺の目見て、言える?」
悔しくて無理矢理目を合わせるけど、
何も言えなかった。
いつもそうだ。
玲の目を見ると全部見透かされているようで
嘘がつけない。
「…っ統夜は、」
震える口を開けたその時、
腕を掴んでいた手が緩まった。