「とりあえず、シャワー浴びてきていいよ、」

そう言ってニコッと優しく笑った

「あ、あの....」

そんな悪いです、そう言おうとした

「あ、そういえば自己紹介がまだだったね。僕は 坂木 美月(サカキミツキ)。名前は女の子みたいだけど男だからね」

そう言って人懐っこそうに笑った。

「私は美月の姉の 坂木 里奈(サカキリナ)よろしくね!」

にっこりと可愛らしく笑った

「わ、私は、神崎 桜姫で、す。」

よろしくお願いしますと頭を下げた。

「じゃぁ里奈、桜姫ちゃんのことよろしくね、理事長に呼ばれちゃったから」

そう言って美月くんは出て行った

「じゃぁ桜姫ちゃんシャワー浴びてきていいよ!制服は予備の貸してあげるから!それ着たら呼んでね!」

そう早口で言われてしまい断れなかったためお言葉に甘えてシャワーを借りることにした

「桜姫ちゃん、自分が可愛いの気づいてないんだろうなぁ...」

里奈ちゃんがそんなこと言ってることなんて私は知る由もなかった




シャワーを浴びてサッパリし、制服を着た

「り、里奈さん、終わりました...ですが、あの、眼鏡とゴムが見当たらなかったのですが....」

本を読んでたのか栞をはさみパタンと本を閉め振り向いた。

そうして、ニコぉっと笑うと

「捨てちゃったよ?、あと制服はこう着るのだよ!」

そうして、私の制服を一瞬で直した

そのあと、何故か椅子に座らされメイクをされた。

「こんな感じかな?うん!やっぱり桜姫ちゃんは可愛いね!ナチュラルメイクなのにすごく綺麗!」

そう言って鏡を私に向けた

「これ、が私...?」

目の前にいる私はまるで別人だった。

髪の毛はゆるく巻かれ横に流し、編み込みも入れられていた

目はぱっちり二重で少しのアイライナー

唇はふっくらしていてピンクのグロスがついている

制服は白のワイシャツに赤のチェックのリボン、ベージュのカーディガンに膝上の短いスカート、黒いニーハイ

そして、片方だけイヤリングがついていた。

「こ、れは?」

「これはね、私との友達の証!私はクローバーのイヤリング付けてて、桜姫ちゃんは花びらのイヤリング!...だめ、かな?」

自分に友達なんていなかった、欲しくてもこの見た目のせいと、名前のせいでいじめられてばかりだった。


嬉しくて涙が出た。

「え、え!?どうしたの!?ごめんね!泣くほど嫌だった!?」

そう慌てる里奈さんに

「い、いえ、嬉しくて...」

そう言うとほっと安心したように

「ねぇ、私のこと里奈って呼んで!桜姫ちゃんの一個年上だけど...私は桜ちゃんって呼んでもいいかな?」

私はまた泣きながら

「うん!ありがとう!」





少しの間話していると、美月くんが帰ってきた

「二人とも仲良くなったみたいだね、それに桜姫ちゃん可愛い...」

そう言って優しく笑った

その笑顔と言葉に胸がドキッとなった。

顔が熱くて恥ずかしくて目をそらしてしまった。


友達ができて、私の中で色が増えたんだ。

オレンジで明るい色。

胸がドキドキ熱くて恥ずかしくて、心臓がおかしくなりそうなのを表すのは何色だろう

「いつかきっとこの思いの正体がわかるかな」


そう一人で呟いた。