俺は、読みかけていた雑誌を机の上に置いた



「暁人、おまえ病院行ったか?」

「…いや、」


今まで賑やかだった倉庫がシーンと静まりかえる

暁人の表情も“無”へと変わっている


病院には“ある人”がいる
ずっと…目が覚めないまま

それは、暁人が女に近づかなくなった原因ともいえる存在



「…まだ、行けない」

ポツリと呟いた言葉に「そうか」とだ返事をすると、また雑誌へと手を伸ばす