そう、アキの職業は美容師だ。
それもかなりの腕だったりする。
アキを指名してくるお客さんも多いらしく、美容師の割に稼いでるらしい。
私だって髪を切る時はアキのお店でアキを指名するし。
「はい、できた。運ぶの手伝って」
そんなこんなでアキ手作りの朝ご飯が完成した。
次々とテーブルへ料理を運んでいく。
白いご飯。豆腐とワカメのお味噌。タラの蒸し焼きにほうれん草の胡麻和え。そして、私の大好きなだし巻き玉子。
「アキ天才」
「そりゃどーも」
いただきますをして早速だし巻き玉子を口に運べば、もうそれは本当に美味しくて。
「本当、アキはいい旦那さんになるよ」
「…バーカ」
褒めたはずなのに、笑ったアキの顔は少し切なげに見えた。