「何企んでんだよ、凛」

「企んでなんかないよ」

「嘘つけ。その香水、もう何年もつけてないだろ」

「…久しぶりにつけたくなっただけ。悪い?」



あぁ言えば、こう言う。


私の嘘なんて、アキには7割も通じてるのかすら怪しい。



けど、本当にダメなんだ。今日だけは。



「何かあったら呼ぶから。ね?」

「…っ、絶対連絡しろよ」

「ん」


振り向いて、ギュッとその背中に手を回す。



「行ってくるね、アキ」

「…行ってらっしゃい」


次に帰ってくるとき、私はどんな顔をしてるんだろうか。