『あー、例の?』

『そうそう。ヤらせてくれないつまんない女』

『あーあ、可哀想なゆうくん。それって女としてどうなんだろうね?』


冷たく言い放つ彼と、可笑しそうに笑うその彼女。



もう悲しみを通り越して、ただただ悔しかった。



気付いたら2人はいなくて、私は一緒に来ていた友達に断ってデパートを後にした。




とぼとぼと、歩いているのかも怪しい速度で歩く帰り道。



『篠宮?』


そんな私に、声をかけて来た人がいたんだ。



『…笠原、くん……?』


それが、アキだった。




アキとは高1から同じクラスで、この頃は席も隣。


男友達の中では1番仲の良い存在だった。