「・・・後悔しても知らんぞ」

「わかってます」

「俺は、いつでもそばで見ている。なにかあった時には、すぐにそいつを連れ戻す」

「・・・はい」




意外にも、白銀は引きさがってくれた。
それでも強引に連れ戻されるのかと思っていたのに。

そもそも、この人はいったい何者なんだろう。
尊とはどんな関係で、なにを知っていて、どういう立場の存在なんだろう。




「あなたはいったい、何者なんですか?」

「俺は、白銀。志朗と名乗っていたのは、人間に化けるため、便宜上都合がよかったからだ」

「・・・白銀。毛色は黒いのに、白なんだ・・・」

「・・・お前、消されたいのか?」




あ、気にしていたのか・・・。
つい気になってボソッと呟いてしまった。
白銀は苛立ちを露わにして私を睨みつけた。




「俺は、神使。神に仕える者。今は、神使を纏める役目を仰せつかっている。そのため、俺がそいつを捕えに来たのだ」

「しんし・・・」

「お前はそいつの事を、なにも知らない。関わったことを後悔する前に、さっさと諦めて手放すのだな」




忠告のようにそう言った白銀は、尊の拘束を解いて踵を返す。