彼が言うように、私の事すらもう憎しみの対象にしかならないのかもしれない。
そう思うと、尊にとってどうすることが最善なのかと考えてしまう。


私のもとにいることが尊にとって苦痛になるのなら・・・。




「尊が戻るべき場所が思い出せるまで、いたらいいよって、尊には言った」

「ならば思い出したのだ。引き渡すべきであろう」

「でも、それが罰を受けるためとか、尊が苦しむための場所なら・・・。尊が望む場所じゃないのなら、私は・・・」




尊が帰りたいと願う場所に、私は帰してあげたい。




「そいつが帰りたい場所など、もうありはしない」

「え・・・」

「それも、お前には関係のないこと」

「尊は帰さない。あなたには、渡しません!」




私は、はっきりとそう告げた。
それは、間違った決断かもしれない。

尊を苦しめてしまうかも。
私自身、後悔することになるかも。
それでも、尊の想いを聞かないままで帰すわけにはいかない。



私には責任がある。
私が拾った。
拾ったものには、最後まで責任を持たなくちゃ。