「なあ。蒼翔?ってだれ?」
「あ、あぁ、この前カラオケ行った時に、いた愁汰くんのお友達だよ。」
「ふーん、そうなんだ。」
「ん?どしたの?」
「いやー、なんかむかつくー。」
「別なにもないってばー!」
その話をしてから家に帰るまで、奏多は不機嫌そうだった。
「ただいま〜。」
誰も帰ってきてないみたい。
「おかえり〜」
部屋に入ろうとすると向こうから声がした。
「あ、お兄ちゃん。いたの?ただいま。」
「ひどっ。今日バイトないからさ〜。」
「そうなんだ。でもオシャレしてるね。」
「よく気づいてくれた。今からデート〜」
「はいはい、行ってらっしゃい。」
「なんだよ、反抗期か〜?」
「違います〜。」
私には3つ上のお兄ちゃんと5つ上のお姉ちゃんがいる。
私は末っ子。
お姉ちゃんは結婚してもうこの家にはいない。